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【2026年】車中泊避難に備える車載防災グッズ|常備リストとポータブル電源の選び方

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防災リュックは玄関に置いてある。でも、いざ停電や大雪で動けなくなったとき、家族が最後に身を寄せる場所は「車」になるかもしれない。そう考えたことはありませんか?

冬の道路で何時間も動けなくなる。大きな地震のあと、避難所に入りきれず、あるいは子どもの様子を考えて、車で夜を明かす。どちらも、私自身が体験した話ではありません。あくまで「起こり得る場面」として想像しているだけです。ただ、想像したときに必ず浮かぶのが「で、車には何を積んでおけばいいの?」という問いでした。

ネットで検索すると、車載防災グッズのリストは山ほど出てきます。ところが、リストが長すぎて何から揃えればいいのか決めきれない。しかもポータブル電源となると、「容量が大きいほうが安心」といった雰囲気だけの話になりがちです。地味にモヤっとしませんか?

そこで今回は、JAF・消防庁・厚生労働省・自治体(仙台市・千葉市)・新潟県の公開資料を読み、車に「常備」するものだけに絞って整理しました。私はガジェット好きの一般ドライバーで、防災の専門家ではありません。「備えている人」を装うつもりもなく、あくまで公的資料と各メーカーの公式仕様を読んで整理した立場でお伝えします。

結論を先に言うと、命に関わるのは換気(一酸化炭素)・体を冷やさないこと・トイレと水です。ポータブル電源は、その次に考える補助的な存在です。ただし車に常備するなら、「エンジンを止めても使える」という条件がつきます。この視点で絞り込む、という選択肢があります。一緒に見ていきましょう。

この記事で解決できる悩み

  • 車に常備する防災グッズを、何から優先して揃えればいいのかわからない
  • 車中泊避難で本当に気をつけるべきリスクを、公的資料ベースで確認したい
  • ポータブル電源を車に置きっぱなしにするとき、容量と温度の何を見ればいいのか知りたい
  • 自分の自治体で車中泊避難がどう扱われているのか、どこを確認すればいいのか知りたい

【結論】車に常備するのは「換気・防寒・トイレと水」が先、電源はその次

まず全体像です。公的資料で繰り返し出てくる項目を、優先度で3段階に分けました。

優先度項目理由(出典)
必須携帯トイレ、飲料水、調理不要の食品新潟県のリーフレット・仙台市とも、携帯トイレは1人1日5回程度。水は1人1日3L・最低3日分が目安とされています(水は新潟県)
必須防寒具・毛布・使い捨てカイロ・手袋消防庁・JAFが、雪害時の備えとして挙げています
必須スコップ(雪の可能性がある地域)マフラー周辺の除雪に使います(消防庁・JAF)
必須スマホ・モバイルバッテリー・ラジオ・ライト新潟県のリーフレットは、119番に連絡できるようスマホとモバイルバッテリーを備えるよう示しています
あると助かる断熱マット・クッション・弾性ストッキング足を伸ばして寝られない場合の対策。弾性ストッキングは購入時に薬局で確認とされています
電源(補助)ポータブル電源エンジンを止めたまま、スマホ充電・照明・電気毛布などの小さな電力を賄う役割

見てのとおり、ポータブル電源は最後の行です。携帯トイレや水、防寒具がなければ、どれだけ大きな電源があっても夜は越せません。逆に言えば、上の「必須」を揃えておくと、電源がなくても最低限の夜を過ごす想定は立てやすくなります。ただし、天候や体調などの状況次第で、必要なものは変わります。

そのうえで、電源を車に常備するか検討する人は多いと思います。容量帯のおおまかな目安としては、スマホと照明が中心なら500Wh級、電気毛布も使いたいなら1000Wh級が候補になります。あくまで目安なので、必ず「消費電力×使う時間」で自分で計算してください(詳しい数字は後半の電源の節で、各社の公式仕様をもとに見ていきます)。

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先に確認:車中泊避難の扱いは自治体で違う

グッズの話に入る前に、ここだけは先に押さえておきたい点があります。車中泊避難の扱いは、自治体によって違います。 本記事は特定の自治体の方針を代表するものではなく、断定もしません。例として、2つの市の公式ページを並べてみます。

自治体公式ページに書かれていること(確認日:2026年10月28日)
仙台市車中泊避難は長期の避難生活に適さないとしたうえで、やむを得ず車中泊をする場合の注意として、就寝時はエンジンを止めて毛布で暖を取る、マフラー周辺の雪や障害物を取り除く、他の車と距離をとる、携帯トイレは1人1日約5回、着圧ソックスの使用などを案内しています(同ページは2026年2月27日更新)
千葉市施設管理者との協定により車中泊避難場所を確保。市の要請を受けた施設管理者が安全確認後に開設し、開設期間は最大3日程度を想定。公表されている場所は10か所(2024年4月時点)+非公表1か所。CO対策として定期的な窓開け換気、他車との距離、エアコンは外気導入などを案内しています(同ページは2024年9月12日更新)

千葉市の数字は2024年時点のものなので、現在の状況は必ず自治体の最新ページで確認してください。

この2つの例からは、「やむを得ない場合の注意を示している自治体もあれば、協定で場所を用意している自治体もある」ことがうかがえます。ほかの自治体がどうなのかは、それぞれの公式ページでの確認が必要です。自分の住んでいる市区町村と、よく行く旅行先・帰省先の自治体は、どう扱っているのか。一度ホームページで検索しておくだけで、いざというときの判断材料が変わります。

なお、内閣府は「在宅・車中泊避難者等の支援の手引き」(令和6年6月)を公開しています。私は手引き本文を確認できていないので、この記事ではその内容には触れません。気になる方は、内閣府防災のページから原本を直接ご覧ください。

内閣府防災 避難所に関するページ

命に関わる3つのリスク(要点だけ)

車で夜を明かすときに、特に注意が必要とされているのが次の3つです。詳しい実験データや冬の車中泊の暖房対策は、別記事で詳しくまとめているので、ここでは要点だけにします。

1. 一酸化炭素(CO)中毒とマフラーの雪詰まり

雪の中でエンジンをかけ続けると、マフラーが雪でふさがれ、排ガスが車内に逆流してCO中毒になる恐れがあります。消防庁は、車両が立ち往生したときはマフラーの定期的な除雪と車内の換気を行うよう案内しています。JAFも、マフラー周辺を定期的に除雪することが重要で、可能ならエンジンを切る、窓を少し開けるだけに頼らない、としています。

JAFの実験では、対策なしの条件でCO濃度が短時間で上昇した一方、マフラー周りを除雪した車ではほぼ検知されなかったと報告されています。また2021年に山形県で行われた実験では、ガソリン車は1分24秒でCOの警報値(50ppm)に達しました。ただしこれらは特定の積雪量・風・車種での結果で、条件が変われば結果も変わります。

ここで一点、注意があります。JAFの2021年の実験の対象はガソリン車と電気自動車で、ハイブリッド車(HEV)は対象外です。ですから、ここで「HEVも同じ」とも「HEVは大丈夫」とも言えません。エンジンが回る状況なら同様の注意が必要、という程度に受け止めておくのがよいと思います。

CO対策、マフラー除雪、冬の暖房の具体的な考え方は、冬のランクル車中泊|断熱・暖房・結露対策を安全優先でまとめた記事で詳しく書いています。そちらもあわせて確認してみてください。

(出典:JAF「雪道での一酸化炭素中毒」「雪の中の車内環境」実験、JAF Q&A、消防庁「雪害に対する備え」〔消防の動き2023年12月号〕)

2. エコノミークラス症候群

狭い車内で長く同じ姿勢でいると、足の血流が滞って血栓ができるリスクがあります。厚生労働省のリーフレットが示している予防のポイントは次のとおりです。

  • 軽い体操やストレッチをする
  • こまめに水分をとる
  • アルコールを控え、禁煙する
  • ゆったりした服装にし、ベルトを締めすぎない
  • かかとの上げ下ろしやふくらはぎのマッサージをする
  • 寝るときは足を上げる

厚労省の資料に回数や時間の数値は書かれていません。新潟県のリーフレットには「4〜5時間ごとに歩く」といった目安が載っています。

「車の中で動けないのに、体操なんて」と思うかもしれません。でも、かかとの上げ下ろしくらいなら、シートに座ったままでもできます。こうした小さな動作を、あらかじめ頭に入れておくだけで、いざというときの行動が変わるはずです。

3. 大雨・浸水・土砂災害のときの車での移動

新潟県のリーフレットは、大雨時の自動車での避難は控えるよう示しており、令和元年東日本台風では屋外で亡くなった方の54%が、車で移動中だったとされています。浸水や土砂災害のリスクがある区域では、車中泊そのものを避ける判断も必要です。この点は後半の「おすすめしない・避けたいケース」でもう一度触れます。

車に常備するものチェックリスト(目的別)

ここからは、車に積みっぱなしにしておきたいものを目的別に整理します。出典は新潟県のリーフレット(新潟県防災局防災企画課作成)、消防庁、JAF、仙台市です。製品名での個別推奨は最小限にして、「何をどれだけ」という考え方を中心に書きます。

A. トイレ・水・食料

携帯トイレ:目安は1人1日5回程度で、人数分×日数分。新潟県のリーフレットと仙台市が同じ数値です。5人家族なら、1日あたり25回分。3日なら75回分になります。断水や停電でトイレが使えないとき、これが一番最初に困ります。

飲料水:目安は1人1日3L、最低3日分(新潟県)。5人なら1日15L、3日で45Lです。車に常備するには重いので、2Lのペットボトルを定位置に分散して積むなど、積載の工夫が必要になります。

食料:調理不要で食べられるもの(缶詰、栄養補助食品など)。加熱が必要なものは、電源や火が使えない前提では不向きです。

燃料:新潟県のリーフレットは、燃料はこまめに給油しておくよう示しています。車は移動手段であり、暖房手段でもあります。残量に余裕を持たせる習慣をつけておくと、いざというときの選択肢が増えます。

B. 寝具・防寒

車のシートは完全に平らではありません。新潟県のリーフレットも、水平に足を伸ばして寝られるか確認するよう促しています。

  • クッション・毛布:シートの凹凸を埋め、体を冷やさないために使います
  • 断熱マット・バスタオル:床や窓からの冷えを遮る。バスタオルは何かと使い回しが利きます
  • 使い捨てカイロ・防寒着・手袋:消防庁・JAFとも、冬の備えとして挙げています
  • 弾性ストッキング:エコノミークラス症候群の予防として案内されていますが、購入時に薬局で確認するよう新潟県は示しています
  • スコップ・毛布:消防庁の備えに含まれています

寝具の選び方は、シートの形状や車種によって変わります。ランクルの車中泊で寝具をどう組んでいくかは、ランクルで快適に寝るための寝具・マット20選の記事に詳しくまとめています。寝袋の温度表記やシェイプ選びは、寝袋の選び方ガイドが参考になります。防寒そのものの考え方は、冬キャンプの防寒対策の記事も合わせてどうぞ。

C. 情報・明かり

  • 携帯ラジオ:停電や通信障害でスマホが使いにくいときの情報源に
  • 懐中電灯・ヘッドライト:両手が空くヘッドライトは、車内での作業にも便利です
  • モバイルバッテリー:新潟県のリーフレットが、119番に連絡できるようスマホとモバイルバッテリーを備えるよう示しています

これらは、後半で扱うポータブル電源よりも小さな出費で揃います。まずここまで揃えてから、電源を検討する順番を、個人的にはおすすめします。

積み方で気をつけたいこと

揃えたあとに意外と効いてくるのが「どこに積むか」です。重い水は低い位置に、頻繁に取り出す懐中電灯やラジオは手前に、といった優先順位を、あらかじめ決めておくと慌てずに済みます。携帯トイレや防寒具は、荷物を全部下ろさないと取り出せない位置に置くと、いざというとき困ります。

私の場合、家族5人でのキャンプでは、プラド150の荷室に道具が入りきらなかった経験があります。そこに防災グッズを追加で常備するとなると、荷室のどこを定位置にするか、普段の積載とどう両立させるかを、あらかじめ考えておく必要がありそうです。「揃える」と「積みっぱなしにできる」は別の問題です。

ポータブル電源は「車の常備品」としてどう考えるか

では、ポータブル電源です。結論から言うと、車の常備品としてのポータブル電源の役割は「エンジンを止めたまま、小さな電力を賄うこと」だと私は整理しています。

何に使う?

  • スマホやモバイルバッテリーの充電
  • LEDランタンなどの照明
  • 電気毛布(エンジンを止めて暖を取るための選択肢)

この「エンジンを止めても使える」という点が、冒頭の編集軸です。エンジンをかけ続けると、雪の中ではCOのリスクがあります。電源があれば、少なくとも暖房を目的とした長時間のアイドリングを避けられる可能性が出てきます。ただし、電源が車内の暖房を丸ごと置き換えてくれるわけではありません。あくまで補助、という位置づけです。

容量の決め方

計算式はシンプルです。

消費電力(W)× 使う時間(h)=必要な電力量(Wh)

たとえば、仮に消費電力50Wの機器を8時間使うなら、50W×8時間で400Whです。実際には、変換ロスや温度による容量の目減りがあるので、計算結果にはある程度の余裕を見ておく必要があります。各機器の消費電力は、お手持ちの製品の定格や、メーカー公式の仕様で確認してください。本記事では、電気毛布などの具体的な消費電力の数字は示していません。

「何を何時間動かすか」を先に決めてから容量を選ぶ。この順番を逆にして、「大きいから安心」で選んでしまうと、重さと置き場所の問題だけが残りがちです。

容量帯ごとの考え方と、公式スペック比較

各社の公式サイトで確認できた値を並べます(2026年10月28日確認)。価格はセールなどで変動するので、ここには書いていません。

機種容量AC出力重量備考
Jackery 1000 New V31024Wh1500W公式ページ参照現行世代
Jackery 1000 New1070Wh定格1500W10.8kg
Jackery 500 New512Wh定格500W公式ページ参照リン酸鉄リチウム。小型枠
Anker Solix C1000 Gen 21024Wh1550W(瞬間2300W)約11.3kg放電-20〜40℃・本体充電0〜40℃(公式)
Anker Solix C2000 Gen 22048Wh2000W約18.9kg放電-20〜40℃・充電0〜40℃(公式)。常備には大型で「据え置き寄り」

この表の見方を、私なりに整理します。

  • 500Wh級(Jackery 500 Newなど):スマホや照明が中心で、小さな電力を最低限賄いたい人向き。持ち運びやすく、車の置き場所に困りにくいサイズです
  • 1000Wh級(Jackery 1000 New系、Anker C1000 Gen 2):電気毛布なども使いたい人が検討する帯。10kgを超えるので、車内での固定や、取り出しやすい置き場所を考える必要があります
  • 2000Wh級以上(Anker C2000 Gen 2など):容量には余裕がありますが、重さ(約18.9kg)を考えると、車に常に積んでおく「常備品」というより、自宅に置いておく据え置き寄りの存在です

私自身は、EcoFlow RIVER Pro(720Wh)+専用エクストラバッテリー、BLUETTI AORA 300、Jackeryポータブル電源 2000 New V2とSolarSaga 200を持っています。このうちBLUETTI AORA 300とJackery 2000 New V2+SolarSaga 200は、メーカーから提供を受けたものです。ただし、災害時に使った経験はありません。AORA 300は3,014Whの大型機で、車に積みっぱなしにするというより据え置き寄りの存在です(詳しくはBLUETTI AORA 300の記事)。Jackery 2000 New V2とSolarSaga 200については実機レビューにまとめています。Jackery 1000 Newの詳細を知りたい方は、Jackery 1000 Newの記事もご覧ください。上の表の他の機種は、公式仕様を読んで整理したもので、私が使った感想ではありません。

容量別の選び方をもう少し広く見たい方は、キャンプ向けポータブル電源の容量別比較が役に立ちます。サブバッテリーとポータブル電源のどちらを選ぶか迷う場合は、ランクル車中泊のサブバッテリーとポータブル電源の記事に整理しています。ランクルFJ向けの話はこちらの記事です(車種限定の内容です)。

Jackery|1000Wh級の公式ストア

表の1000Wh級のうち、Jackery 1000 Newは公式ストアで仕様と価格を確認できます。重さ(10.8kg)と置き場所も合わせて見ておくと安心です。

Jackery 1000 Newの価格・仕様を確認する

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車載常備の落とし穴(電源編)

ポータブル電源を車に常備するときに、特に注意したいのが温度です。

氷点下の車内:「放電できる」と「充電できる」は別

Anker Solix C1000 Gen 2の公式ページでは、動作温度が「放電時は-20〜40℃」「本体への充電は0〜40℃」と書かれています。つまり、氷点下では放電(使うこと)はできても、充電はできない可能性があるということです。

これは車への常備で、じわじわ効いてくる話です。寒波の夜に電源を使い切ってしまうと、翌朝、車内が氷点下のままだと、その場で充電し直せないかもしれません。「使い切ったら、日中に暖かい場所へ持ち込んで充電する」といった運用を、あらかじめ想像しておく必要があります。

Jackery、BLUETTIなど他社製品の動作温度や保管温度については、今回の記事では数字を取得できていません。お手持ちの製品の取扱説明書で、動作温度と保管温度の条件を必ず確認してください。 製品によって条件は違います。

夏の車内高温・長期の放置

反対に夏の車内は、閉め切るとかなりの高温になります。リチウムイオン電池を搭載した機器を、高温になりうる車内に置きっぱなしにしてよいのかどうかは、各社の取扱説明書の保管条件に従う必要があります。リチウム電池を車内に常備する際の公的な安全基準については、私が確認した範囲(消防庁等)では見つけられていません。ですので「大丈夫」とは言えず、各社の取扱説明書を確認する、というのが現時点での私の結論です。

自然放電と残量管理

使わない時間が長いと、電池の残量は少しずつ減っていきます。一般論として、半年に一度程度は残量をチェックする、といった点検のタイミングを自分で決めておくと、いざというときの空っぽを防げます(これは出典のある数字ではなく、あくまで運用の目安です)。

HEVの1500Wコンセントは別の話

ハイブリッド車の車内コンセントで電気を使う話は、別の記事にまとめています。本記事はHEVの給電体験を扱っていません。興味のある方は、ランクル300 HEVの100V・1500Wコンセントの記事をご覧ください。

条件別おすすめ:結局、何を積む?

ここまでの内容を、条件別にまとめます。

ミニマム(電源なし)
携帯トイレ・飲料水・調理不要の食品、毛布・カイロ・防寒着、スコップ、モバイルバッテリー、ラジオ、ヘッドライト。これだけでも、公的資料が挙げている基本的な備えの多くに対応します。ただし、地域や季節で必要なものは変わるので、あくまで最初の一歩として考えてください。

スマホ・照明が中心
上記に加えて、500Wh級のポータブル電源を検討。スマホの充電と照明を、エンジンを止めたまま賄うことが目的です。

電気毛布も使いたい
1000Wh級が候補。ただし、電気毛布などの消費電力は、お手持ちの製品の定格を確認し、「消費電力×使う時間」で自分で計算してください。氷点下での充電可否(前節)も含めて、運用を想像しておくのが大切です。

5人家族(妻と娘3人〔中学生1人・小学生2人〕)の積載を考える場合
人数が増えると、携帯トイレや水の量が一気に増えます。家族5人だと、携帯トイレは1日25回分、飲料水は1日15Lが目安の計算になります(前節の目安値より)。荷室との相談になるので、重い水は低い位置に、取り出しやすいものは手前に、といった積載の優先順位を事前に決めておくと、いざというときに慌てずに済みます。

おすすめしない・避けたいケース

最後に、「車中泊避難を前提にしない」ほうがよいケースにも触れておきます。

  • 高齢の方、妊娠中の方、持病のある方:新潟県のリーフレットにはリスクチェックシートがあり、車での避難生活はリスクが高まる層がいることが示されています。こうした方は、車中泊避難を前提にせず、避難所や親戚宅など、他の選択肢も合わせて考えてください
  • 浸水・土砂災害のリスク区域:区域内で車中泊をしない、大雨時の自動車での避難は控える(新潟県リーフレット)
  • 雪の中でマフラー周辺の除雪ができない状況:COのリスクが高まります。この場合の判断は、前述のとおり公的資料に従ってください
  • 体調に異変を感じたとき:新潟県のリーフレットは、異変を感じたら119番に連絡するよう示しています

車は、あくまで選択肢のひとつです。「車で逃げ切れば安心」といった考え方はせず、自治体の避難情報とハザードマップを見ながら、状況に応じて判断する、というスタンスがよいと思います。

FAQ(よくある質問)

Q. 寒いとき、エンジンをかけて暖を取ってもいいですか?

JAFは「可能ならエンジンを切る」としており、仙台市も就寝時はエンジンを止めるよう案内しています。やむを得ずエンジンをかける場合は、消防庁がマフラー周辺の定期的な除雪と車内換気を案内しています。JAFは、窓を少し開けるだけに頼らないよう示しています。雪の積もる地域では特に、慎重に判断してください。

Q. ポータブル電源は車に積みっぱなしで大丈夫ですか?

製品ごとに動作温度・保管温度の条件が違います。冬は氷点下、夏は高温になる車内に置いて大丈夫かどうかは、お手持ちの製品の取扱説明書を確認してください。本記事で数字を示せたのはAnker Solix C1000 Gen 2などの一部の機種の動作温度のみです。

Q. 携帯トイレは何回分用意すればいいですか?

新潟県のリーフレットと仙台市が、いずれも1人1日5回程度を目安にしています。人数×5回×想定日数で計算してください。

Q. ハイブリッド車(HEV)なら大丈夫ですか?

JAFの2021年の実験はガソリン車とEVが対象で、HEVは含まれていません。「HEVだから大丈夫」とは言えないので、エンジンが回る状況なら同様に換気とマフラーの確認が必要、と考えるのが無難です。HEVのコンセント給電については別記事をご覧ください。

Q. ガソリンはどのくらい入れておくべきですか?

新潟県のリーフレットは、燃料はこまめに給油するよう示しています。具体的な残量の目安は書かれていません。「何割を切ったら給油する」といった自分なりのルールを、普段の運転の中で決めておくとよいと思います。

まとめ

  • 車に常備する優先度は「換気・防寒・トイレと水」が先、電源はその次
  • 車中泊避難の扱いは自治体で違う。自分の地域の公式ページを確認する
  • 命に関わるのは、CO中毒・エコノミークラス症候群・大雨時の車移動
  • ポータブル電源は、エンジンを止めたまま小さな電力を賄う補助的な存在。容量は「消費電力×時間」で計算する
  • 氷点下では「放電はできても充電できない」場合がある。取扱説明書の動作温度・保管温度を必ず確認する
  • 高齢の方・妊娠中の方・持病のある方は、車中泊避難を前提にしない

車載防災グッズは、揃えること自体が目的ではありません。「何があれば、どう過ごせるか」を、一度頭の中で想像してみることが、いちばんの備えになります。本記事の内容は備えの一例です。最終的には、お住まいの自治体の公式情報と、各製品の取扱説明書で確認してください。参考になれば幸いです。

車中泊そのものを快適にしたい方には、ランクル250向けの車中泊・アウトドア総合ガイドや、ランクル300向けの車中泊・アウトドア総合ガイドも用意しています。

出典一覧(確認日:2026年10月28日)

  • JAF「雪道での一酸化炭素中毒」実験(2015年2月実施)/「雪の中の車内環境」実験(2021年2月実施)/JAF Q&A(マフラー周辺の除雪)
  • 消防庁「雪害に対する備え」(消防の動き2023年12月号)
  • 厚生労働省「エコノミークラス症候群 予防のために」
  • 新潟県防災局防災企画課作成リーフレット「クルマで避難生活するときのリスクとソナエ」(内閣府ホームページに検討会資料として掲載。作成主体は新潟県)
  • 仙台市「車中泊避難について」/千葉市「車中泊避難について」
  • 各メーカー公式サイト(Jackery、Anker)

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