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【2026年】冷蔵庫の停電対策は「専用電源」という選択肢|UPS型バックアップ電源を徹底解説

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台風が近づいてきた夜、テレビの停電情報を見ながら「冷蔵庫、大丈夫かな」と思ったことはありませんか?

私はあります。作り置きのおかず、子どもたちの弁当用に冷凍してある食材、まとめ買いした肉。扉を開けなければしばらくは冷気が保たれるとはいえ、時間が経てば庫内の温度はじりじり上がっていきます。しかも厄介なのは、停電がいつ復旧するか誰にもわからないことです。

我が家は妻と娘3人(中学生1人・小学生2人)の5人家族なので、冷蔵庫の中身が全部ダメになったときの「もったいなさ」も「明日どうしよう」も、それなりに切実です。ガジェット歴20年、ポータブル電源もさんざん調べてきましたが、正直に言うと「自宅の冷蔵庫を守る」という一点だけを考えたとき、手持ちの選択肢はどれも微妙に噛み合っていないとずっと思っていました。

発電機は屋内で使えない。車から引っ張るのはエンジンをかけっぱなしにする必要がある。ポータブル電源は、そもそも停電に気づいた人が慌ててコンセントを挿し替える前提です。真夜中に停電したら? 出張で家を空けていたら?

そこで最近になって出てきたのが、冷蔵庫の裏に挿しっぱなしにしておいて、停電した瞬間に自動で電気を引き継ぐ「冷蔵庫専用のバックアップ電源」というカテゴリです。いわゆるUPS(無停電電源装置)の家庭版、と言えばイメージしやすいかもしれません。

この記事では、その新しい選択肢が何者なのか、既存の停電対策と何が違うのか、そして2026年8月時点で日本の家庭が現実的に選べる製品はどれなのかを、公開スペックと計算だけを材料に整理していきます。

この記事で解決できる悩み

  • 停電したとき冷蔵庫の中身をどう守ればいいのか、具体的な手段がわからない
  • ポータブル電源を持っているけれど、それで冷蔵庫の停電対策になるのか自信がない
  • 「冷蔵庫専用UPS」という言葉を見かけたが、普通のポータブル電源と何が違うのか知りたい
  • 実際に何時間くらい冷蔵庫を動かせるのか、自分の冷蔵庫サイズで知りたい
  • 常時コンセントに挿しっぱなしにして、電気代はどれくらいかかるのか気になる

【結論】冷蔵庫の停電対策は「常時つないで自動切替する専用機」という選択肢がある

先に結論を書きます。

冷蔵庫の停電対策には、冷蔵庫とコンセントの間に挟んで常時つなぎっぱなしにしておき、停電した瞬間に自動でバッテリー給電へ切り替わる専用機を使う、という選択肢があります。工事は不要で、やることは「コンセントに挿す」だけ。停電に人が気づく必要すらありません。

このカテゴリの何が効くのかというと、「人間が介在しない」という一点に尽きます。

従来の停電対策は、どれも最後に人の操作が入りました。発電機を出して始動する。車のエンジンをかけて延長コードを引く。ポータブル電源を冷蔵庫の裏まで運んでプラグを挿し替える。どれも「起きていて、気づいていて、動ける」ことが前提です。深夜3時の停電や、家族が留守にしている日中の停電には、原理的に間に合いません。

一方この専用機は、切替時間が 10ms(0.01秒)。冷蔵庫のコンプレッサーが瞬断を検知せずに回り続けられる、という水準を狙った設計です。

そして2026年8月時点で、日本の家庭がこのカテゴリから選べる製品は主に2つあります。

製品立ち位置日本での状況(2026年8月時点)
Jackery SlimPower H1日本で先行する薄型・軽量重視の1台(厚さ67mm)2026年7月発売・購入可能
BLUETTI FridgePower後発の大容量クラス(2,016Wh)2026年9月1日にMakuakeでクラウドファンディング開始予定

ここでひとつだけ、はっきりさせておきたいことがあります。このカテゴリは「BLUETTIが日本で初めて出した新ジャンル」ではありません。Jackery SlimPower H1という直接の先行製品が、2026年7月にすでに日本で発売されています。今から出てくるFridgePowerは、このカテゴリの2番手であり、より大容量な選択肢という位置づけです。

なので、この記事も「新しい何かの発表を待つ」記事ではなく、すでに買える製品も含めてカテゴリごと整理する記事にしています。

停電で冷蔵庫が止まると、実際に何が困るのか

「食材がダメになる」——それはそうなのですが、実際に困るポイントはもう少し分かれています。

1つめは、冷凍庫のダメージが大きいこと。 冷蔵室は多少温度が上がっても当日中に食べ切れば済む話ですが、冷凍室は一度溶けると戻せません。溶けて再凍結した肉や魚は品質が落ちますし、安全面でも判断に迷います。まとめ買い派の家庭ほど、冷凍室に置いてある金額は大きいはずです。

2つめは、「捨てる判断」に時間とストレスを取られること。 停電が復旧した後、庫内のものを一つずつ手に取って「これはいけるか、ダメか」を判断する作業が発生します。台風や地震の直後、ただでさえやることが多いタイミングでこれをやるのは、地味にきついです。

3つめは、冷蔵庫が止まると生活が丸ごと後退すること。 冷たい飲み物が出せない、氷が作れない、離乳食やミルク用の保冷ができない。夏場の停電では、これがそのまま体調リスクになります。

そして4つめが、時間が読めないこと。数十分で復旧することもあれば、大規模災害では日をまたぐこともあります。「どれくらい持たせればいいか」が事前にわからないので、対策する側は「とりあえず一晩は越えたい」という発想になります。この記事の後半で稼働時間を計算しているのは、この「一晩越えられるか」を数字で確かめるためです。

devicecampの読者にはランドクルーザーやプラドのような高額車両のオーナーが多く、車の盗難対策や車載電源の話をよく読んでいただいています。高額な資産を持っている人ほど、それを守る仕組みにお金と手間をかけるという傾向があると私は思っていて、自宅の防災もまさに同じ発想の延長線上にあります。この記事は車中泊の話ではなく、純粋に「自宅の冷蔵庫をどう守るか」の話です。

従来の停電対策には、それぞれ「冷蔵庫には向かない理由」があった

ここが今回いちばん整理したかったところです。停電対策の手段は昔からいくつもあるのに、なぜ「冷蔵庫を守る」用途では決定打にならなかったのかを並べてみます。

対策屋内で使えるか停電時の切替工事冷蔵庫用途での限界
ガソリン発電機✕(屋外限定)手動(運び出して始動)不要一酸化炭素中毒のリスクがあり屋内使用は不可。燃料の備蓄・管理も必要
自動車からの給電(インバーター経由)△(車から屋内へ延長)手動不要(車側の準備は要)車が動かせる状態であることが前提。エンジンをかけ続ける必要があり燃料を消費し、長時間の連続稼働は現実的でない
一般的なポータブル電源手動(気づいてつなぐ)不要「持ち出して使う」設計。停電の瞬間に人が気づき、冷蔵庫の裏まで運んで挿し替える必要がある
家庭用蓄電池(全負荷対応型)自動必要家全体をカバーできる代わりに設置工事が必須。価格帯も数十万〜100万円超と別次元
冷蔵庫専用UPS自動(10ms)不要守れるのは基本的に「つないだ機器」だけ。家全体はカバーしない

こうして並べると、「屋内で使えて」「自動で切り替わって」「工事がいらない」の3つを同時に満たすのは、いちばん下の行だけだとわかります。

そして重要なのは、これは優劣の話ではなく、設計思想が違うだけという点です。発電機は「長時間・大電力を燃料で作る」ための道具ですし、ポータブル電源は「電気を持ち出す」ための道具。家庭用蓄電池は「家全体を、太陽光と組み合わせて回す」ための設備です。それぞれ本来の土俵では強い。

冷蔵庫専用UPSがやっているのは、守る対象を「冷蔵庫1台」に絞り込むことで、工事も操作もゼロにするという割り切りです。全部を守ろうとしないから安く済み、置きっぱなしにできる。個人的には、この割り切り方がかなり好みです。

なお、そもそもポータブル電源というカテゴリ自体の基礎から押さえたい方は、ポータブル電源の選び方ガイドにWh・W・バッテリー種別の読み方をまとめてあるので、そちらから読んでいただくと以降の話が入りやすいと思います。

「冷蔵庫専用UPS」とは何なのか|普通のポータブル電源との決定的な違い

ここで言う「冷蔵庫専用UPS」は、私が説明の都合でそう呼んでいる呼称で、各社が統一した公式カテゴリ名を使っているわけではありません。実態としては「常時プラグイン前提で設計された、家庭用のUPS機能付きバックアップ電源」です。

普通のポータブル電源との違いを、3つに絞って整理します。

違い1:使い方が「持ち出す」ではなく「置きっぱなし」

普通のポータブル電源は、キャンプや車中泊に持っていって、使ったら家に帰って充電する道具です。だから取っ手が付いていて、充電の速さや持ち運びやすさが競われます。

対してこのカテゴリは、冷蔵庫の裏や横に置いて、二度と動かさないことが前提です。だから薄さや設置の自由度が競われます。BLUETTI FridgePowerが横置き・縦置き・壁掛けの3パターンに対応しているのも、Jackery SlimPower H1が厚さ67mmという数字を前面に出しているのも、「冷蔵庫と壁の隙間に収める」という同じゴールを見ているからです。

違い2:切り替えが「手動」ではなく「自動・10ms」

ここが本質です。UPS機能とは、停電を検知して自分のバッテリーからの給電に瞬時に切り替える機能のこと。両製品とも切替時間は10ms(0.01秒)で、冷蔵庫側が停電を検知しないまま動き続けられる水準に収まっています。

普通のポータブル電源にもUPS的なパススルー機能を持つ機種はありますが、多くは「持ち出して使う」ことが主用途なので、冷蔵庫の裏に常設して24時間365日パススルーで通電させ続ける運用は想定されていないケースがあります。ここは製品ごとに仕様が本当にばらつくところなので、「うちのポータブル電源でいけるかな」と思った方は、必ず手持ちの機種の公式仕様で常時接続の可否を確認してください。

違い3:待機電力の設計思想が違う

置きっぱなしにするということは、1年間ずっと電気を食い続けるということです。持ち出して使うポータブル電源では誰も気にしなかった待機電力が、このカテゴリでは直接ランニングコストになります。この話は後の章で具体的に計算します。

日本で選べる2製品|Jackery SlimPower H1 と BLUETTI FridgePower

2026年8月時点で、本記事で確認できた範囲では、このカテゴリから現実的に選べるのは主に以下の2製品です。

項目Jackery SlimPower H1BLUETTI FridgePower
容量1,024Wh(拡張バッテリーで最大2,048Wh)2,016Wh
定格出力800W(瞬間最大1,600W)1,800W(瞬間最大3,600W)
厚さ67mm75mm
重量約10.5kg本記事の確認範囲では未記載
UPS切替0.01秒(10ms)10ms
待機電力本記事の確認範囲では未記載4W
バッテリー本記事の確認範囲では未記載EVグレードLiFePO₄/10年間または4,000サイクルで容量80%以上を維持
設置厚さ67mmの薄型設計横置き・縦置き・壁掛けの3パターン
工事不要(コンセント接続のみ)不要(コンセント接続のみ)
価格119,800円(税込)未発表
日本での状況2026年7月発売・購入可能2026年9月1日にMakuakeでクラウドファンディング開始予定

※スペックは各社公式サイト(2026年8月26日確認)に基づきます。「未記載」は各社が公表していないという意味ではなく、本記事で確認した公式ページの範囲では見つけられなかったという意味です。

Jackery SlimPower H1:まず買えて、まず薄い

先に発売されている分、「今日注文できる」という強みがあります。これは防災グッズとしてかなり大きい。「9月の台風シーズンに間に合わせたい」という動機があるなら、購入可能という一点だけで有力候補になります。

数字で見ると、容量1,024Wh・定格800W・厚さ67mm・約10.5kg。公式が「67mm」という厚さを前面に打ち出しているとおり、薄さで冷蔵庫まわりに収めることを狙った設計です。重量10.5kgは、大人が一人で持って壁際に据えるには現実的な重さだと思います。

そして拡張バッテリーを足せば最大2,048Whまで伸ばせるので、「まず1,024Whで運用してみて、足りなければ拡張する」という買い方ができるのは地味に効きます。防災用品は「必要量が事前にわからない」のが最大の悩みなので、後から足せる構成は素直に賢い。

価格は119,800円(税込)。ポータブル電源としては1,000Whクラスの相場感ですが、この価格でUPS機能と薄型設計が付いてくると考えると、位置づけが見えやすくなります。設置スペースの実寸と在庫は、検討を始める段階で一度見ておいて損はありません。

Jackery SlimPower H1|1,024Wh・厚さ67mm・すでに買える1台

置けるかどうかは、冷蔵庫と壁のすき間の実寸で決まります。67mmが収まるかをメジャーで測ってから、価格と在庫を見てみてください。

Jackery公式ストアで価格・在庫を確認する

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✓ 容量1,024Wh/定格800W ✓ 拡張バッテリーで最大2,048Wh ✓ 価格・在庫は各販売ページでご確認ください

BLUETTI FridgePower:容量と出力が約2倍の上位クラス

対してFridgePowerは、容量2,016Wh・定格出力1,800W。SlimPower H1と比べると、容量で約2.0倍、定格出力で約2.3倍です(2,016÷1,024≒1.97、1,800÷800=2.25)。厚さは75mmで、67mmのSlimPower H1よりわずかに厚い。つまり薄さを少し譲って、容量と出力を大きく取った設計ということになります。

バッテリーはEVグレードのLiFePO₄(リン酸鉄リチウム)で、10年間または4,000サイクルで容量80%以上を維持するとされています。置きっぱなしにする機械なので、寿命が長いことは価格以上に効くと私は思います。5年で交換が必要な機械を冷蔵庫の裏に据えるのと、10年放置できる機械を据えるのとでは、運用の気持ちが全然違います。

待機電力4Wという数字が公表されているのも、常時プラグイン前提の設計思想が出ていて好感が持てます。設置は横置き・縦置き・壁掛けの3パターンに対応し、コンセントに挿すだけで工事不要。冷蔵庫まわりのどこに置けるかが決まっていない段階でも、設置の逃げ道が多いのは実務的に助かるポイントです。

ただし、ここだけは注意——FridgePowerは2026年9月1日にMakuakeでクラウドファンディングが始まる予定の製品で、日本での価格は本記事の執筆時点でまだ発表されていません。容量が2倍だから価格も2倍とは限りませんし、クラウドファンディング特有の早期割引が付く可能性もあります。現時点で「いくらならお得か」を判断する材料は、まだ揃っていません。 9月1日の公開を待って、実際の価格を見てから比較するのが正解です。

BLUETTI FridgePower の最新情報を追いたい方へ

価格と公開日はBLUETTI公式の製品ページで案内されています。Makuake公開の通知を受け取る登録もこちらから行えます(本記事も価格判明後に更新予定です)。
BLUETTI公式 FridgePower 製品ページを見る

冷蔵庫サイズ別の稼働時間の目安(計算値)

「で、うちの冷蔵庫は何時間もつの?」——ここがいちばん知りたいところだと思うので、計算します。

使う式はシンプルです。

稼働時間 = 容量(Wh) × 0.85 ÷ 冷蔵庫の消費電力(W)

0.85は、インバーターの変換効率とバッテリー保護分を見込んだ一般的な目安値です。この係数で計算すると、実際に取り出せるのは以下のようになります。

  • Jackery SlimPower H1:1,024Wh × 0.85 = 約870Wh
  • BLUETTI FridgePower:2,016Wh × 0.85 = 約1,714Wh

これを冷蔵庫サイズ別の消費電力目安で割ったものが下の表です。

冷蔵庫サイズ・消費電力の目安SlimPower H1(1,024Wh)FridgePower(2,016Wh)
一人暮らし向け 150〜250L・約40〜60W約14.5〜21.8時間約28.6〜42.8時間
ファミリー向け 300〜450L・約60〜80W約10.9〜14.5時間約21.4〜28.6時間
大家族向け 500L以上・約80〜120W約7.3〜10.9時間約14.3〜21.4時間

この表は実測ではなく、公称容量から計算した理論上の目安です。 実際の冷蔵庫はコンプレッサーが常時全力で回っているわけではなく、庫内温度に応じて運転と休止を繰り返します。また扉の開閉回数、室温、庫内の詰め方、製氷機能の有無によっても消費電力は変わります。あくまで「桁を掴むための数字」として読んでください。

ちなみに、この計算値をBLUETTI公式が公表している稼働時間目安と突き合わせてみると、こうなります。

冷蔵庫サイズ公式の目安(FridgePower)本記事の計算値
150〜250L(40〜60W)約30〜40時間約28.6〜42.8時間
300〜450L(60〜80W)約20〜30時間約21.4〜28.6時間
500L以上(80〜120W)約15〜20時間約14.3〜21.4時間

ほぼ重なりました。公式の数字も、だいたい同じ考え方で出されているとみてよさそうです。逆に言えば、公式値もまた「条件次第で変わる目安」だということでもあります。

この数字をどう読むか

私が注目したのは、「一晩越えられるか」のラインです。

夜10時に停電したとして、朝7時までは9時間。この9時間を越えられるかどうかで、翌朝の絶望度がまったく変わります。上の表を見ると、300〜450Lのファミリー向け冷蔵庫なら、SlimPower H1でも約11〜14.5時間。一晩は十分に越えられる計算です。

一方で、500L以上の大型冷蔵庫を使っていて、かつ「丸一日以上の停電も想定したい」となると、SlimPower H1の約7.3〜10.9時間では心もとない。ここがFridgePowerの2,016Whが効いてくる領域(約14.3〜21.4時間)です。あるいはSlimPower H1に拡張バッテリーを足して2,048Whにする、という手もあります。

つまり、「自分の冷蔵庫の大きさ」と「想定する停電の長さ」の掛け算で必要容量が決まる、という当たり前の結論に落ち着きます。容量クラスごとの考え方はポータブル電源のクラス別比較にもまとめているので、容量の見積もりで迷ったら合わせて見てみてください。

待機電力4Wは、年間いくらになるのか

常時プラグインが前提のカテゴリなので、「挿しっぱなしの電気代」を先に計算しておきます。ここを気にせず買うと、後から「そういえば……」となりがちなポイントです。

BLUETTI FridgePowerの待機電力は4W。年間の消費電力量はこうなります。

4W ÷ 1,000 × 24時間 × 365日 = 約35.04kWh/年

これに電気料金を掛けます。仮に1kWhあたり31円として計算すると、

35.04kWh × 31円 = 約1,086円/年

年間およそ1,100円弱。月あたりにすると90円ほどです。

この数字をどう見るかですが、私の感覚では「思ったより安い」でした。冷蔵庫の中身が一度全滅したときの損害を考えれば、年1,000円ちょっとの保険料は十分に釣り合っていると思います。

ただし、ここは注意が必要です。 電気料金の単価は地域・電力会社・契約プラン・時間帯によって大きく変わりますし、燃料費調整額や再エネ賦課金の影響も受けます。31円/kWhはあくまで計算のための仮置きの数字なので、ご自身の検針票に載っている単価で計算し直してみてください。単価が40円なら年間約1,400円、25円なら年間約876円という具合に動きます。

そしてもう一点。待機電力4Wという数字はBLUETTI FridgePowerの公表値です。Jackery SlimPower H1については、本記事で確認した範囲の公式ページに待機電力の記載を見つけられませんでした。常時接続で使うつもりなら、購入前に販売ページやサポートに確認しておくと安心です。

このカテゴリを検討するとき、待機電力の数字を公表しているかどうか自体が、「常時プラグインを本気で想定して設計しているか」の一つのシグナルになると私は思っています。持ち出して使う前提の製品なら、そもそも書く必要のない項目だからです。

ここは注意|買う前に確認しておきたい3つのこと

いいことばかり書いても仕方ないので、正直に気になる点を挙げます。

注意1:守れるのは「つないだ機器」だけ

当たり前ですが、これは家全体の停電対策ではありません。冷蔵庫につなげば冷蔵庫は守れますが、照明もエアコンもテレビも止まります。「家全体を止めたくない」というニーズなら、工事の必要な家庭用蓄電池が本来の解です。価格帯も用途も別のカテゴリなので、ここを混同しないほうがいいと思います。

逆に言えば、「冷蔵庫だけは絶対に止めたくない」「その代わり工事も操作もしたくない」というニーズに、ぴったり刺さる製品です。

注意2:冷蔵庫の起動電力を必ず確認する

冷蔵庫のコンプレッサーは、起動する瞬間に定常時の数倍の電力を一瞬だけ引きます。定格出力だけを見て「うちの冷蔵庫は100Wだから余裕」と判断すると、起動時に保護回路が働く可能性があります。

この点、SlimPower H1は瞬間最大1,600W、FridgePowerは瞬間最大3,600Wと、いずれも定格の2倍のピーク対応を持っています。一般的な家庭用冷蔵庫であればまず問題にならない水準だとは思いますが、大型の冷蔵庫や業務用寄りの機種を使っている場合は、冷蔵庫側の取扱説明書で消費電力と起動電力を確認してから選ぶのが確実です。

注意3:FridgePowerはまだ価格がわからない

繰り返しになりますが、BLUETTI FridgePowerの日本価格は本記事の執筆時点(2026年8月26日)で未発表です。2026年9月1日にMakuakeでクラウドファンディングが公開される予定なので、価格が判明するのはそこから。

クラウドファンディングという性質上、出荷までに時間がかかる可能性もあります。「今年の台風シーズンに間に合わせたい」という時間軸なら、すでに購入できるSlimPower H1のほうが要件に合う、という判断も十分にありえます。

なお、FridgePowerの日本価格が判明した時点で、この記事にも実際の数字を追記して更新する予定です。9月1日以降にまた覗きに来ていただければ、比較の材料が一つ増えているはずです。

結局どちらを選ぶべきか?条件別の結論

条件別に整理します。

あなたの状況向いている選択理由
今シーズンの台風に間に合わせたいJackery SlimPower H12026年7月発売済みで、すでに購入できる
冷蔵庫が300〜450LのファミリークラスSlimPower H1でも足りる計算上、約11〜14.5時間=一晩は越えられる
冷蔵庫が500L以上の大型FridgePower、またはH1+拡張バッテリー大型機ではH1単体は約7.3〜10.9時間まで落ちる
丸一日以上の停電も想定したいFridgePower(2,016Wh)容量が約2倍。長時間側の要件に効く
設置場所の隙間が本当に狭いSlimPower H1(67mm)8mm差だが、隙間設置では8mmが効く場面がある
冷蔵庫以外も少しつなぎたいFridgePower(定格1,800W)出力の余裕が違う。ただし容量は消費される
価格を見てから決めたい9月1日のMakuake公開を待つ現時点で価格比較は物理的にできない

私なりの整理はこうです。 「薄さ・軽さ・今すぐ買える」を取るならJackery SlimPower H1、「容量・出力・寿命の余裕」を取るならBLUETTI FridgePower。どちらが上という話ではなく、守りたい冷蔵庫の大きさと、想定する停電の長さで決まると思っています。

そして、どちらにも当てはまらない人もいます。すでに大容量のポータブル電源を持っていて、停電時に自分で挿し替える運用でよしとするなら、無理に買い足す必要はありません。その場合は手持ちの機種のUPS/パススルー仕様を確認しておくだけでも、備えの質は上がります。

おすすめな人/おすすめしない人

おすすめな人

  • 冷蔵庫の中身に、それなりの金額と手間がかかっている家庭(まとめ買い派・作り置き派・ふるさと納税の冷凍品が多い人)
  • 夜間や留守中の停電が不安な人——自動切替の価値は、人が居ない時間帯にこそ出ます
  • 賃貸などで工事ができない住まいの人——コンセントに挿すだけで完結します
  • 家庭用蓄電池は大がかりすぎると感じている人——守る対象を絞ることで、価格も設置も一気に現実的になります
  • すでにポータブル電源を持っていて、それを防災の主役に据えるのは無理があると気づいた人

おすすめしない人

  • 家全体の停電対策を求めている人——それは工事の必要な家庭用蓄電池の領域です
  • 持ち出して使いたい人——このカテゴリは置きっぱなし前提の設計で、可搬性は主眼ではありません。持ち出す用途ならポータブル電源おすすめ10選で紹介しているような、通常のポータブル電源のほうが確実に合います
  • 停電がほとんど起きない地域で、コストを最優先したい人——価値の感じ方は、その地域の停電頻度に強く依存します
  • 今すぐ最安値を確定させたい人——FridgePowerの価格が出るのは2026年9月1日以降です

FAQ|冷蔵庫の停電対策でよくある質問

Q1. なぜ普通のポータブル電源ではダメなのでしょうか?

ダメというより、設計目的が違います。普通のポータブル電源は「電気を持ち出して使う」ための道具なので、停電時に冷蔵庫へ給電するには、人が停電に気づいて、冷蔵庫の裏まで運んで、プラグを挿し替える必要があります。深夜や留守中の停電には間に合いません。

冷蔵庫専用UPSは「冷蔵庫の裏に常設して、停電の瞬間に自動で引き継ぐ」ための道具です。手持ちのポータブル電源にUPS/パススルー機能があり、かつ常時接続での運用がメーカーに認められているなら、近い運用は可能です。まずは手持ち機種の公式仕様を確認してみてください。

Q2. 工事は本当に不要なのですか?

はい。SlimPower H1・FridgePowerとも、コンセントに接続するだけで使える設計です(FridgePowerは公式仕様でも工事不要と案内されています)。分電盤をいじる家庭用蓄電池と違い、電気工事士の資格も業者手配も必要ありません。

イメージとしては、壁のコンセントと冷蔵庫のプラグの間に一台挟むだけです。賃貸でも設置でき、引っ越し時にはそのまま持っていけます。

Q3. 冷蔵庫以外の家電もつなげますか?

つなげます。ただし容量は共有なので、他の機器をつなげばその分だけ冷蔵庫の稼働時間は短くなります。

定格出力の範囲内なら物理的にはつながりますが(SlimPower H1は800W、FridgePowerは1,800W)、このカテゴリの価値は「冷蔵庫を長時間止めないこと」に振り切っている点にあるので、スマホの充電やWi-Fiルーターのような小電力機器を足す程度に留めるのが、本来の使い方に合っていると思います。電気ケトルやドライヤーのような高消費電力の機器を回すと、あっという間に容量を持っていかれます。

Q4. 常時つなぎっぱなしで、バッテリーは劣化しませんか?

バッテリーである以上、時間経過と充放電で劣化は進みます。ただしBLUETTI FridgePowerはEVグレードのLiFePO₄(リン酸鉄リチウム)を採用し、10年間または4,000サイクルで容量80%以上を維持するとされています。リン酸鉄リチウムはもともと寿命の長さに強みがあるタイプで、常時接続を前提とする用途とは相性がいい組み合わせです。

なお停電がほとんど起きなければ充放電サイクルはあまり進まないため、現実には「サイクル数」より「年数」のほうが先に効いてくるケースが多いはずです。

Q5. BLUETTI FridgePowerの日本価格はいくらですか?

2026年8月26日時点では未発表です。 公式では2026年9月1日にMakuakeでクラウドファンディングを公開予定と案内されており、価格が判明するのはその公開後になります。

比較対象として、1,024Wh・800WのJackery SlimPower H1が119,800円(税込)です。ただしクラウドファンディングは早期割引の設定次第で価格の見え方が大きく変わるので、現時点で予想の数字を置くのはやめておきます。9月1日に実際の数字を見てから判断してください。

「一晩越えられるか」で決めるなら、容量から逆算する

300〜450Lクラスの冷蔵庫なら、SlimPower H1で計算上およそ11〜14.5時間。足りるかどうかを確かめてから、拡張バッテリーの要否を判断するのが無駄のない順番です。

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✓ 稼働時間は本記事の計算値(実測ではありません) ✓ 容量は拡張バッテリーで後から追加できます

まとめ|「冷蔵庫だけを守る」という割り切りが効く

長くなったので、要点をまとめます。

  • 冷蔵庫の停電対策には「常時つないで自動切替する専用電源」という選択肢がある。工事不要・操作不要で、切替は10ms
  • 従来の対策(発電機・車からの給電・ポータブル電源・家庭用蓄電池)は、屋内使用・自動切替・工事不要の3条件を同時に満たせなかった
  • このカテゴリはBLUETTIが初めてではない。Jackery SlimPower H1が2026年7月にすでに日本で発売されており、FridgePowerはより大容量な2番手の選択肢
  • 稼働時間の計算値(容量×0.85÷消費電力)では、300〜450Lのファミリー冷蔵庫でSlimPower H1が約11〜14.5時間、FridgePowerが約21.4〜28.6時間。一晩越えるだけならH1でも足りる
  • 常時プラグインのランニングコストは、待機電力4W×24時間×365日=約35kWh/年。仮に31円/kWhなら年間約1,086円(電気料金は地域・契約により変動)
  • 今シーズンに間に合わせたいならSlimPower H1容量と出力の余裕を取るならFridgePower。ただしFridgePowerの日本価格は2026年9月1日のMakuake公開まで不明

正直なところ、私はこのカテゴリが出てきたときに「なんで今までなかったんだろう」と思いました。全部を守ろうとすると工事と数十万円が必要になるけれど、冷蔵庫1台に絞れば、コンセントに挿すだけで済む。 この割り切り方は、防災の現実解としてかなり賢いと思っています。

まずは自宅の冷蔵庫の容量(リットル数)と、背面に貼ってある定格消費電力を確認してみてください。その2つの数字が分かれば、この記事の表で必要な容量クラスがだいたい絞り込めます。そこから先は、価格と設置スペースの話です。

参考になれば幸いです。

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